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メジロガモ♂成鳥生殖羽 19/02/09 神奈川県
今回の関東遠征の目的の一つ。昨シーズンクビワキンクロ♀とともに観察され大きな話題を呼んだ個体が今年も関東へ帰還した。最初にこの個体の画像を見たのはおよそ1年半前である。SNSにアップされた画像を見る限りではかなりメジロガモに寄った雑種の印象を持っていた。胸部、背面、脇など各部のコントラストは一見して強く見え、脇の白色の食い込みがありアカハジロを連想させる。また、波状斑はメジロガモにしてはやや目立つ。
さて、この個体は今季も同様に昨季飛来した公園にやってきた。今季も落ち着きなく中距離間を数日毎に移動し続け、観察を求める者たちを翻弄した。私自身も12月、神奈川まで遠征して見事に外している。しかし、このところは現在地の公園で餌付いており比較的容易に観察できるようである(前日訪れた知人は出会えなかったようで、当日も午前中は見つからなかったらしい。)。餌付けをする人が居るときは目下まで泳いでくるが、たちまちいなくなると公園奥の葦まで泳いでいき、中に入ってしまう。葦の中を泳げば姿は見えず、見つけられない可能性はあるように感じた。また、付近に似たような池が多く、近隣水域と行き来があっても不自然ではないだろう。

上画像を見ていただければわかる通り、前述したように実物も各部のコントラストは強く、波状斑は肉眼でもわかるほど明瞭だった。しかしながら、画像だけで見る印象とは異なり雑種と言えるほどの違和感は感じなかった。
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同上
前述でも指摘したが、脇の白色の食い込みはやはりどの状況でも概ね水面より上にはみ出ており、この点は常に気になった。
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同上
頭部も概ねメジロガモ的な三角頭で嘴は寸詰まり。
波状斑は角度により明瞭に見える瞬間がある。
尾羽は一部旧羽のようだ。
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同上
少しでも体部が伸びると脇の食い込みはさらに浸出する。
曇天のため、光沢は分からなかった。油絵の具を落としたかのような玲瓏な赤色が美しく、視線を釘づけにされた。
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同上
下尾筒から下腹にかけて波状斑はより明瞭である。大阪のアカハジロも同様にこの部分に波状斑がある。下面の白色部もやはり広く見え、三角状に側胸に向けて食い込んでいく。
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同上
翼帯は問題なく白色である。

第一に写真の印象と実物を見た際の感想が直感的に大きく異なったことに自分でも驚いた。波状斑が明瞭な点など、列挙した点はメジロガモとしては主張が強く遺伝子浸透のレベルで雑種を起こしている可能性は感じたが、個体差としてもあり得るレベルなのかもしれない。
仮にこの個体が雑種として検討するのであれば、脇の食い込みはアカハジロ、波状斑はメジロガモではっきりと出現しているか、ホシハジロの影響を受けているか。これら三種は比較的普通に雑種を作り、各地に飛来する。これらがF2以降を産み出すのであれば三種が関わった個体というのは実在したとしておかしくはないだろう。

それにしてもこの個体は大変みごたえがあり美しい。陽が当たればあの赤色は深い趣ある光沢を帯びるはずだ。光線に晒されたメジロガモの赤は独特の美麗な光沢を放つ。