今回から数回にわけてカワアイサの羽衣についてまとめてみる。
至近距離で観察できる観察地も多くなく、経過心が高く近づくことすら難しいことも多い。しかし、京都府下の町中の河川では近距離で尚且つ警戒心も低い個体が観察記できる。

条件や羽衣によってはかなり年齢雌雄の判別が難しいこともあるが、ここまで観察した私見をまとめてみる。今回は冬場に見かける基本羽衣・成鳥個体について。
【換羽】
Baker(2016)によれば成鳥の換羽は年二回。生殖羽~非生殖羽への換羽は全身換羽で概ね6月~9月で他種同様。飛翔力を失う時期がある。雌は雄に遅れて換羽する。

【♂成鳥・生殖羽】
頭部は深緑色で、大柄で額が出っ張り、後頭が強めに尖る。雨覆は全体的に白く、次列風切羽まで区切りなく純白に見える。体部は脇から前胸部と脇に近い肩羽は白く、上背は黒い。腰、下灰は灰色。三列は黒い羽縁があり、内弁外弁ともに白い。は大柄で長く、嘴爪は黒、それ以外は基部まで濃い朱色。それらのコントラストは全齢の中で最もコントラストが強い。嘴爪は長い上に深く垂れ下がる。

【♀成鳥・生殖羽】
頭部は赤茶色で、雄ほど額は尖らず、滑り台型。後頭は尖るというよりは冠羽がぼさぼさとしている。雨覆は中雨覆、小雨覆がやや明るめの灰色。大雨覆は内側数枚を除き白色である。雄とは異なり次列の白色との間に境界があることが多い。体部は前胸部を除いた脇や肩、背、腰含め全体的に灰色である。遠目に見ると一様に灰色に見えることがある。は雄ほど長くない。嘴爪は冬から春にかけては黒いが、秋は淡い茶色であることも多い。基部にかけては朱色。二色のコントラストは♂成鳥程でないが、強い。嘴爪は小柄でほとんど垂れ下がらない。

・サイズは雄>雌

★♂成鳥生殖羽
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カワアイサ♂成鳥生殖羽 19/02/15 京都市
この種を代表する羽衣。
頭部は一様に深緑色で、雨覆も純白かつ次列との境界もなく一様に白色である。
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は嘴爪を除き、朱色で基部は厚みがある。嘴爪も長く垂れさがり、二色のコントラストは強い。

★♀成鳥生殖羽
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カワアイサ♀成鳥生殖羽 19/02/15 京都市
頭部は赤茶色で、額から嘴にかけて滑り台型。後頭は雄のように出っ張らずボサボサと冠羽が伸びる。
雨覆も雄とは異なり、灰色で大雨覆のみ白色である。次列との境に境界線がある。
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は雄と似るが、嘴爪もやや淡く、コントラストは雄ほど強くない。目先は冬場黒っぽくなる。

【雌雄比較まとめ】
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頭部比較
頭部と比較しても雄の方が嘴は大きく長い。顔つきは頭部の印象も雌雄で異なり、この感覚は後日掲載予定の幼鳥における雌雄判別で重要な点となる。
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翼比較
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三列及び尾筒側面の比較
雄は白地に黒い羽縁である。雌は黒い不明瞭な羽縁にくすんだ灰色。やや羽軸付近は淡い傾向にある。
尾筒側面は雄は複雑なパターンで横斑とC字斑が混在する。雌は単調に白い羽縁に灰色の羽毛に覆われる。

今回は種を代表する基本的な羽衣について。幼鳥や秋の非生殖羽といった変則的な雌雄の識別に置いてこの基本羽衣にきっちり馴染むことが重要になる。

ある程度、当ブログに掲載以外でも画像が溜ってきたため、たまにこうした纏め記事もアップしていきたいと思う。取りあえずカワアイサについてしばらく纏めてみる。余裕があれば他種についてもしようとは思っているが、今のところは保留・・・

次回に続く