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アカハジロ×ホシハジロ♀ 20/02/27 大阪府
連絡を頂き観察できた個体。郊外の河川で観察した。
比較的大柄でサイズは直感でホシハジロ♀とほぼ同大。羽色はメジロガモ♀を想起させるものであるが、全身に見られる波状斑はメジロガモ♀には合致せず純粋なメジロガモではない。比較的明確かつホシハジロ♀とほぼ同じレベルで波状斑が全身を覆っているが、下尾筒は白くホシハジロ♀とも明らかに異なる特徴を持っている。ではアカハジロ♀はどうか。アカハジロ♀に関してはこちらを見ていただきたい。当該個体は頭部は暗色で前述の通り波状斑を伴う。秋の羽色はアカハジロ♀でもやや暗色気味に見えることはあるものの深緑色っぽいパターンを持っておりこの点も異なる。また波状斑も見られず当てはまらない。3種の特徴を全て逸脱しているおり雑種と考えられる。波状斑を伴うことからもこの個体はホシハジロ♀が絡んだ雑種と推測できる。
さて、もう片親は何だろうか。
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同上
前置きとしてやや長めに3種の特徴との逸脱を示す文章を差し込んだが、観察時のjizzはかなりアカハジロ♀(及びアカハジロ×ホシハジロ♀)の印象が強く、初見でこの組み合わせが浮かんだ。
この印象を形成しているのは何か?
嘴は長く基部が厚い。頭部はメジロガモのように明らかな尖りは見せず、概ね扁平で額が低い。体格もしっかりとしている点などもアカハジロ♀を想起させる。
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同上
頭部の羽毛が寝るとかなり扁平である。嘴の厚さは一貫して主張を強め、かなりアカハジロ♀に近い頭部の印象を見せる。
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同上
頭部の羽毛がやや立っていると思われる姿勢。ややホシハジロ♀的な角張を見せながらも額は低く傾斜はなだらかに嘴峰まで半楕円を描いている。こうしてみるとかなり身体は長く見える。

片親はアカハジロか?
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当該個体とアカハジロ♀の比較。
嘴の印象はかなりアカハジロに近い。当該個体は脇の白色の浸出はあまり見られない。上から3枚目の画像がわかりやすいが、やや上部に食い込む程度であり目立たない。しかし、ホシハジロ♀でこのような浸出は見られないため、アカハジロ♀の影響を肯定する要素といえる。
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嘴及び頭部の比較
キャプションの通り中央が当該個体。左のメジロガモ♀は明らかに嘴は華奢で短い。頭部の形も異なり後ろ側で尖り、頭頂からやや急に傾斜を描きながら嘴峰に浅いカーブで到達する。中央の当該個体は前述の通り額の角張にホシハジロの影響を感じさせながらも左のアカハジロ♀に近い印象である。特に嘴の形状がかなり似ているように思う。色のパターンはアカハジロ、メジロガモ両種ともと異なり、嘴爪周囲に暗色部が広がり、灰色のパターンが存在するホシハジロ的なものである。当該個体の嘴基部の淡色部はアカハジロの影響だろうか。
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同上
翼帯はホシハジロ♀よりも白っぽくアカハジロ♀に近いパターンである。
全ての特徴を比較出来たわけだは無いが、これらの点からもアカハジロ×ホシハジロ♀と考えるのが妥当だろう。
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同上
最後まで確認できなかった顎の白斑。この角度でそれらしいものが見えないということは存在しないのかもしれない。
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尾羽拡大
この個体は今までの画像を見返していただければわかるが、体羽に幼羽と思われるものは見当たらない。尾羽も現地で撮影できたと喜んでいたのだが、ややぶれているせいでよくわからず。ノッチのようなものは見当たらないようにも見えるため少なくとも幼羽は存在しない可能性が高い。
そもそもこの早春を目前にした時期で年齢の判別が羽衣のみで判別できないケースの方が多そうであるが。