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オカヨシガモ×ヨシガモ♂生殖羽 21/11/04 高島市
全体的にヨシガモの印象が強いタイプである。オカヨシガモとヨシガモの"明らかな"交雑個体は過去に3個体観察しているが、この個体が自身の観察したものの中では最もヨシガモの形質に近い個体である。両種の間では(特にオカヨシガモで)遺伝子浸透と推察される形質を持った個体がしばしば観察される。例えば、オカヨシガモでは三列風切羽が明らかに下垂した個体や頭部にツートンカラーの明確なコントラストがあるタイプなど個体により様々である。分岐の浅い近縁種同士或いは交雑の頻度が高い個体間においては片側の種にもう一方の遺伝子が浸透する遺伝子浸透が起こることがある。カモ類において身近なところで言えばアメリカヒドリとヒドリガモがわかりやすいところであろう。

この個体はヨシガモの雰囲気が強い個体であるが、顔のパターンはややこの組み合わせによくみられる緑色とクリーム色のツートンカラーになっている。しかしながら、ヨシガモ寄りの個体であるためか、目下の赤茶色部分が残りヨシガモ風味を残したパターンになっている。雑種であるため発現するパターンは個体により異なるため、過去に京都で観察した個体や奈良で観察した個体ではよりオカヨシガモ寄りのタイプであったためこの点に差異がみられる。これらの雑種によくみられる特徴として雨覆のパターンがより複雑になる点があげられる。ヨシガモの大雨覆の臙脂部に加えオカヨシガモ的な臙脂部が中雨覆などに散らばって現れている。

上に遺伝子浸透が見られることが多い種であることを述べたが、やはりこれら2点は"明らかな"交雑と考えられる個体でよく見られる特徴であり、反対に遺伝子浸透レベルと考えられる─所謂雑種とは多くの場合判断されない個体たちではみられることが少ない特徴である。雑種世代については個体の観測だけで推測されるものではないと思うが、やはり交雑の経歴が浅い個体ではこうした両種の明らかな特徴が二分した形で発現することが多いのではないだろうか。